2021年07月23日
雲仙温泉「湯せんぺい」
雲仙を代表する銘菓のひとつに、「湯せんぺい」というものがあります。「べい」ではなく「ぺい」と表記するのですが、「煎餅のことを九州地方の方言で“せんぺい”ということがあるから(※1)」「米粉ではなく小麦粉で作られているから」「長崎中華街で月餅の餅を“ぺい”と読んだから」「食感が軽いから」などといった説があるそうです。歴史は古く、最後の島原藩主・松平忠和公に献上するために作られた菓子が始まりなのだとか。今も製造販売している業者は雲仙温泉に3軒(※2)、小浜温泉に3軒確認できました。
※1:佐世保には「九十九島せんぺい」、博多には「にわかせんぺい」がある。
※2:内1軒は「湯せんべい」と表記。
発祥地は小浜温泉となるのですが、雲仙温泉にある昭和39年創業の「松坂屋湯せんぺい本舗(松坂商店)」に行ってみました。店内には「湯せんぺい」の甘いイイ香りが漂っております。
15枚入りのもの(540円)でも良かったのですが、普段甘いものをほとんど口にしない私には、ちょっと量が多いんですよね。かといって、1枚(50円)では少なすぎるし……。
というワケで、5枚入りのもの(250円)を購入しました。これはハネ付きというレアな商品でもあります。
クルマを停めていた近くの駐車場で、早速いただいてみました。プリントされていないビニール袋に入れただけのものなのでお土産向きではありませんが、自分で食べるだけならこれで充分ですね。
原材料は小麦粉・玉子・砂糖。「湯せんぺい」というだけあって、水の代わりに温泉水を加えて生地を作るそうです。「松坂屋湯せんぺい本舗」では、それを5枚1組の金型に流し込んで焼き上げます。そのときにはみ出たハネを切り落としたものが、ちゃんとした商品となるのですが、ハネの方が好きという方も少なくないのだとか。解ります、解ります。
ヒマだったので1枚だけハネを取ってみました。この状態で直径105mmほどです。しかし……思ったよりもキレイに割れないもんですね。
雲仙温泉はかつて外国人の避暑地・保養地として栄えていたため……かどうかは知りませんが、裏には「YUSENPEI」の文字があります。パリパリサクサクとした軽い歯応えがイイ感じ。甘いものが好まれる長崎ですが、意外にも甘さは控えめなんですね。少し芳ばしさもあって美味しくいただくことができました。店内に漂っていたのと同じ甘いイイ香りが手に移るので、それをクンクン嗅ぎながらしばらく余韻を楽しむこともできます。
軽くて値段も手頃で3ヶ月くらい日持ちするので、お土産にも宜しいかと思います。長崎空港には、小浜食糧と三宅商店の「湯せんぺい」が並んでいました。ちなみにですが、長崎銘菓の「クルス」は「湯せんぺい」がルーツとなるそうです。
[参考1]小浜食糧 湯せんぺい
[参考2]小浜食糧 クルス
このあと、雲仙温泉の近くにある白雲の池に寄ってから小浜温泉に向かいました。