「全国イイ味ハマル味」

今回の旅、9日目。宮津のホテルからクルマを27kmほど走らせ、丹後半島の東端に位置する伊根町までやってきました。古くから天然の良港として知られる伊根湾には、舟屋と呼ばれる建物が約230軒もあり重要伝統的建造物群保存地区（※）に選定されております。1階が船置き場で2階が居室という、全国的にも珍しい建物がズラッと並ぶ光景は、一生に一度は観てもらいたいところ。もちろん個人的見解ですけどね。

※選定地区の中では面積が2番目に広い。漁村集落としては全国初。



観光案内所のお姉さんに「桜の花が満開ですよ」と勧められたので、まずは近くにある海蔵寺を参拝してきました。たった1本ではありますが、確かに見応えのある桜ですね。樹齢は150年以上といわれているそうです。



その少し先には、"日本で最も海に近い酒蔵"といわれる、宝暦4年（1754年）創業の向井酒造があります。お目当ては赤米から作られた「伊根満開」というお酒だったのですが、残念ながら売り切れ。まぁ……入手困難だというのは知っていたんですけどね。代わりに「豊漁」（720ml 1,400円）という、超辛口の純米酒（日本酒度＋17）を購入しました。これは数日後に購入する、あるものをアテにしていただくつもりです。



伊根まで来たからには、遊覧船には乗っておきたいですよね。5年前に訪れたときは定員100名というまあまあ大きな遊覧船だったので、今回は定員11名の小さな遊覧船に乗ってみましょう。小型の遊覧船は基本的に予約制なのですが、観光案内所のお姉さんの話では「七面山駐車場で待っていれば乗れると思いますよ」とのこと。駐車場前には遊覧船が何艘か並んでいますが、いずれも2名からの運航のよう。なので近くにいたご夫婦に声を掛け、一緒に乗ってもうことにしました。



……が、3名程度ではすぐに出発しないんですね。（笑）結局、出発できたのは20分後。6名になってからでした。まぁ……向こうも商売ですから、1人でも多く乗せたいのでしょう。伊根に来て驚いたのは、意外に外国人が多いということ。この遊覧船に乗っているのも半数は外国人です。大阪から天橋立までは早くても2時間半くらいで、交通手段によっては4時間以上掛かります。さらに天橋立から伊根までは、路線バスで1時間くらい掛かるんですよ。結構アクセスが悪いと思うんですけどね。インバウンド……恐るべし。



約30分の周遊で、途中カモメの餌やりタイムがあります。普段こういうのは遠慮させてもらうのですが、全員に無料でかっぱえびせんが配られるんですね。初めは面倒くさいなぁ……と思っていたのですが、久し振りにやってみたら結構楽しかったです。（笑）もしかしたら、これって日本だけなのでしょうか。外国の方々には大ウケのご様子でした。



いや〜、この光景は一生忘れられませんね。もし伊根に行く機会があったら、是非とも遊覧船からの眺めを楽しんでいただきたいです。舟屋については船頭さんがいろいろと説明をしてくれるので、予備知識がなくても充分楽しめると思います。他にもいろいろと書きたいことがあるのですが、ネタバレというのも何なのでこれ以上は割愛。できれば一度訪れてみてください。料金の方はアレですが宿泊可能な舟屋もございます。



道の駅 舟屋の里 伊根にやってきました。海抜40mほどではありますが、海に近い高台にあるので伊根湾と舟屋群を見渡すことができます。



もちろん、約230軒全ての舟屋を望むことはできませんけどね。それでも世界で唯一といえる風景は、一見の価値ありだと思います。クルマやバイクでないと不便なところではありますが、機会があったら一度訪れてみてください。クドいようですけどね。



道の駅内を歩いていたら、「ウミャー堂」というお店に「ヒスク」なるものがありました。干物スティックを略して「ヒスク」と呼んでいるんですね。お目当ての店が開くまであと40分。このお店のオリジナルではありますが、美味しそうなので1ついただいてみましょう。



この日の「ヒスク」はサバ・イカ・ゲソ・ブリの4種類で、塩味・イタリアンガーリック味・BBQ味・照り焼き味があります。サバが人気のようなので、「サバヒスク」（400円）の塩味を頼んでみました。注文を受けてから焼くようで、5分ほど待つこととなりました。



串に刺さっていますが、ご丁寧に袋に入れてくれました。細長くカットされた干物で長さは23cmほど。結構大きいサバが使われているのが分かります。細長いだけでなく骨も取り除いてあるので、干物なのにとても食べやすいですね。



焼き立てということもあり、皮はパリッとしていてイイ食感。脂がしっかりとのっているのでビールが欲しくなってしまいます。塩加減も丁度良く、とても美味しくいただくことができました。生ビールや日本酒などもあるので、運転をしない方は是非一緒に召し上がってみてください。ちなみに手がちょっと干物臭くなるので、気になる方はウェットティッシュなどを用意しておくと宜しいかと思います。