長崎県
2021年08月11日
大村「太麺皿うどん」その3(そぼろ皿うどん)
ホテルのチェックインを済ませ、空が暗くなるのを待ってから(お腹が空いてから)外出しました。画像はホテルの部屋から大村湾越しに観た夕陽です。
ホテルから歩いて4分ほどのところにある、昭和30年創業の「山口屋」という中華料理店に行きました。交通量の多い国道34号沿いにあるのですが、周りに派手なチェーン店が並んでいることもあり、もしかしてまだ準備中?と勘違いするような地味な佇まいなんですね。看板の電気ついてないし……。どうやら、出前をメインとしているようです。そんなお店で今回いただくのは、「そぼろ◯◯◯」というもの。丁度2ヶ月前に紹介した「とり皿うどん」と同様、主に長崎県の老舗中華料理店に見られるもので現在は減少傾向にあります。
このお店にはご覧のとおり、「そぼろちゃんぽん」「そぼろ皿うどん」「そぼろ焼そば」があります。(※1)でも、この場合の「そぼろ」って何のことだろう。「浦上そぼろ」の「そぼろ」(粗い千切り、または余り物のこと ※2)とも違うようだし……。ちょっと調べてみたところ、8年ほど前にケンミンSHOWで「そぼろちゃんぽん」が取り上げられていました。番組情報によると、「そぼろというのは具沢山という意味」らしいです。ただ、蛭子能収さんが言ってたことみたいなので、イマイチ信憑性に欠けるような……(笑)。実際に長崎県民でさえも、「知らない」「聞いたことがない」という方が少なくないのだとか。ちなみに大村市は、太麺(チャンポン麺)を使った「皿うどん」が主流です。全国的に見られる極細揚げ麺を使った「皿うどん」は、コチラのお店では「焼そば」と呼びます。(そば焼きの記事参照)話がヤヤコシくてすみません。
※1:メニューに「とり皿うどん」「とり焼そば」もありますが、やはり「とりちゃんぽん」はないんですね。不思議です。(とり皿うどんの記事参照)
※2:諸説あります。(浦上そぼろの記事参照)
このお店は「皿うどん」が人気らしいので、太麺の「そぼろ皿うどん」(950円)を頼みました。くどいようですが、全国一般的な揚げ麺の方を頼みたい場合は「そぼろ焼そば」となります。念のため店のおばあちゃんに「そぼろって何ですか?」と訊いてみたところ、「味付けは同じなんだけど具が少し良くなる」とのこと。甘めに味付けされた塩ベースの餡の具は、肉団子・豚肉・エビ・イカゲソ・赤はんぺん(ちゃんぽんにも使われるピンクの練りもの)・揚げカマボコ・キャベツ・モヤシ・玉ネギ・長ネギ・キクラゲ。これを見る限りでは、「そぼろ」って他の店でいうところの「特製」「特上」「上」などにあたるように思えます。ただ……ごく一部なのですが、「そぼろ◯◯◯」と「特製◯◯◯」の両方をメニューに載せる店も存在するんですよね。やはり蛭子さんの言ったように、「具沢山」という意味なのかもしれません。
長崎市の製麺所からわざわざ取り寄せているという麺は、焼き目がしっかりと付いていて香ばしいうえに、かなりコシが強くてとても美味しくいただけます。これほどコシのあるチャンポン麺は珍しいのではないでしょうか。もしかしたら長崎県民が好むものとは違うのかもしれませんが、食感マニアにはたまらないものがあります。ちょっと焦げが気になるところもありますが、個人的には全く問題ありません。多めに入っているコリッコリのイカゲソと、モッチリとした肉団子も良いアクセントになっています。アッサリ目な仕上がりなのも、おじさんには嬉しいですね。
「ソースもあるから」「洋コショウもあるよ」……と、味変を笑顔でグイグイと勧めてくれるおばあちゃんもステキです。ちなみに、洋コショウというのは普通のペッパーのことです。九州北部などトウガラシのことをコショウ(※)と呼ぶ地域では、区別するためにペッパーを洋コショウと呼んだりするんですね。
※代表例としてユズコショウが挙げられますが、現在はトウガラシそのものをコショウと呼ぶ人は少ないそうです。
折角なので、後半は酸味の利いたウスターソースと洋コショウを少々掛けました。やはりB級感がグッと増して美味しくいただけますね。更に「酢を掛けても美味しいよ」といって、わざわざ他の席から酢を持ってきてくれました。長崎県で「皿うどん」に酢を掛けるのはかなり少数派だと聞いていたので、まさか勧めてくるとは思ってもみませんでした。
しかし……ホントに「皿うどん」って奥が深いですね。このブログは基本的に「広く浅く」なので、あまり深く掘り下げるのはやめておこうと思います。鍋や大皿を持参して「皿うどん」を持ち帰るお客さんもいる……などといった話も、やめておこうと思います。
このあと大村駅の近くにあるスーパーに寄ったのですが、ここにも茹でピーナツ入りの「煮ごみ」が並んでいました。紹介したものとは少し異なり、茹でピーナツ・レンコン・シイタケ・タケノコ・ニンジン・コンニャクといった内容です。
この日の宿はコチラ。「大村ヤスダオーシャンホテル」で、GoToトラベルを利用してシングル(早得プラン)が1泊2,860円。更に地域共通クーポンが1,000円分貰えたので、実質1,860円となりました。
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大村ヤスダオーシャンホテル
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2021年08月06日
大村「煮ごみ」
道の駅 長崎街道鈴田峠などを経て、この日の宿泊地である大村市の中心部に到着しました。1時間以内無料の市営駐車場にクルマを停め、まずは本陣通り商店街へ。
大市通市場という、昭和が香る昔ながらのマーケットに入りました。青果店・精肉店・鮮魚店・蒲鉾店・惣菜店などが並んでいます。
コチラの「うちだ屋」というお店で、ちょっと買物をしていきます。弁当や総菜の他に、郷土寿司の「角寿し(大村寿司)」なども扱っているようです。
今回のお目当ては、「煮ごみ」というものです。いわゆる「筑前煮(がめ煮)」のようなものなのですが、大村市では鶏肉ではなく茹でピーナツが使われ「煮ごみ」と呼ばれるんですね。江戸時代から伝わる郷土料理で、正月や冠婚葬祭など人が集まる時には欠かせない料理なのだとか。現在は学校給食の定番メニューでもあるそうです。
※鶏肉を入れる店や家庭もあります。
茹でピーナツ(塩茹で落花生)が昔から食べられている地域は、全国にもいくつか見られますが、大村市もそのひとつなんです。市内にはご覧のような専門店も何軒かあります。
「煮ごみ」だけを200数グラム(430円)購入してきました。緑色の包み紙(うぐいす紙)が、ちょっぴりノスタルジックですね。
茹でピーナツ・ゴボウ・ニンジン・ダイコン・タケノコ・インゲン・サトイモ・凍豆腐・コンニャクといった内容。優しい味わいのダシが全体に染み渡っていて、お袋の味的な旨さがあります。特に味シミシミのダイコンと凍豆腐がたまりませんね。茹でピーナツはとても柔らかくて香ばしく、食感と味の良いアクセントになっています。塩気がイイ具合に利いていることもあって、酒のアテにピッタリといった感じでした。実際、焼酎と一緒にいただいたんですけどね。
今回は茹でピーナツの入った大村市の「煮ごみ」を紹介しましたが、お隣りの佐賀県には小豆や栗などを入れる地域もあるそうです。面白いもんですね。いつかいただいてみようと思います。
ちなみに、「煮ごみ」は長崎市でも見掛けました。鶏肉は入っていましたが、やはり茹でピーナツは入っていないんですね。
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2021年08月04日
諫早市高来町「高来そば」(どろりそば)
雲仙市と諫早市を結ぶ雲仙多良シーライン(諫早湾干拓堤防道路)の中間地点にある、潮受堤防展望所に寄ってみました。佐賀県鹿島市方面から長崎県島原市方面へショートカットできる道なのですが、意外と交通量は少ないんですね。たまたまかもしれませんけど、ガラッガラでした。
北側には干拓北部排水門を、南側には長崎県最高峰の平成新山をはじめとした雲仙岳の山々を望むことができました。
さて、諫早市高来町には「高来そば」と呼ばれるものがあります。かつては多くの農家で自家消費用として栽培されていたのですが、生産者は年々減少し一部地域に数軒を残すのみとなってしまいました。しかし絶滅を危惧した有志たちにより、平成22年に「幻の高来そば振興協議会」が発足。新たに栽培されるようになったんですね。
とはいえ、元々が自家消費用のためか、料理として供する店はほとんど見られません。調べてみても、たったの2軒しか確認できませんでした。その内の1軒、その名も「幻の高来そば食事処」というお店に行ってみました。平成31年にオープンしたお店で、「轟街道ふれあい市」という農産物直売所の敷地内にあります。厨房がプレハブで、客席がビニールハウスというのがイイですね。都会ではなかなか味わえない佇まいです。
現在は「そば処 どん百姓」という屋号のようですね。「どろりそば」の普通盛り(180g 640円)を頼みました。厨房の窓口で注文と支払いを済ませ、番号札をもらって席に着き、番号を呼ばれたら取りに行くというシステムです。このときは10分ほど待ちました。
具はカマボコのみで、薬味として揚げ玉・ネギ・ユズコショウが付いてきました。ツユは少し白っぽく濁っているのが、お判りいただけるでしょうか。島根県出雲地方の「釜揚げそば」と同様、蕎麦を水で洗わずに茹で汁(蕎麦湯)ごとドンブリに移すんですね。ツユがドロリとしているから「どろりそば」……というワケです。
予備知識では「自分で醤油を掛けていただく」だったのですが、すでに味が付いていたのでこのままいただきました。温かい蕎麦なのでヤワヤワだろうと思っていたら、少し独特なモソッとしたイイ歯応え。蕎麦の風味もしっかりと感じられる……というか、風味を楽しむための蕎麦といった感じなんですね。素朴ながらも想像以上の美味しさです。
後半は薬味を加えて、またちょっと違った旨さを楽しみました。やはりユズコショウが入ると、九州に来た感がアップしますね。ここまで来る機会はなかなかありませんが、次回は冷たい蕎麦を試してみたいなぁ……と思いました。
このあと諫早市の小長井地域にある、ときめきフルーツバス停通り(国道207号)に行ってみました。その名のとおり、フルーツの形をしたバス停が点在しているんですね。画像は1番人気だというメロンと、ミカン・トマト(リンゴっぽくもあるけど)です。
コチラはイチゴとスイカ。おじさん1人で……というのはちょっと恥ずかしい気もしましたが、実際に行ってみると結構楽しかったです。w
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2021年08月02日
雲仙市千々石町「じゃがちゃん」
小浜温泉の中心部まで戻ってきました。しかし……小浜マリンパークにある、この鍾乳石のようなものは一体何でしょう???山口県の秋芳洞にある、百枚皿のようにも見えますけど。
そのすぐ近くにある、「ほっとふっと105」という日本一の長さを誇る足湯に浸かってきました。源泉の温度が105℃なので、105mの長さにしたんですね。平成22年にオープンした比較的新しい足湯です。
小浜温泉から11kmほどクルマを走らせ、雲仙市千々石町にある「千々石観光センター」に寄りました。長崎県の土産品が並ぶ片隅で、何故か沖縄のブルーシールアイスが売られています。
といってもお目当てはそれらではなく、千々石観光センターオリジナルの「じゃがちゃん」というものです。雲仙市民のソウルフードと評されるほどの人気だそうで、多いときは1日に3,000本も売れるのだとか。
このときは午前中ということもあってか、それほど混んではいませんでした。ただ、注文を受けてから揚げてくれるので、このくらいの行列でも5分くらいは待ちます。
50年ほど前に考案されたという、人気の「じゃがちゃん」は1本200円。生産量全国第3位(※)を誇る長崎県産のジャガイモを丸ごと蒸して、秘伝の衣で包んで軽く揚げるのだそうです。
※1位はダントツ北海道で、2位は鹿児島県。平成29年までは長崎県が2位でした。
他に「じゃがカツ」「じゃがちゃん塩バター」「じゃがボコ」「じゃがちゃんセット」なんてものもありました。
揚げたてなので当然アツアツ。少し冷ましてからいただきました。衣は薄くて程良いサクサク感。ところどころにカリッカリの部分もあって、なかなか楽しい食感ですね。北海道の「揚げいも」に似た感じで、ちょっとアメリカンドッグを思わせるような、B級感あふれるイイ味わいがあります。
やや小振りのジャガイモは、とても柔らかくてしっとりとした仕上がり。ジャガイモ2個は多いかな……とも思ったのですが、ジャガイモ自体の旨さと優しい甘味でアッという間に食べ終えてしまいました。人気だというのも納得です。
展望台から橘湾を眺めながらいただくと、更に旨さが増すような気がします。ただ……「じゃーが!じゃーが!じゃーが!ぼくらのじゃがちゃ〜ん♪」といったオリジナルソングが、エンドレスで流れているんですよね。耳に残る前に出発することにしました。w
[オマケ]じゃがちゃんの歌
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2021年07月30日
小浜温泉「エタリの塩辛」
今回の旅、13日目。前日の夕方に「小浜海産」という土産店に寄ったのですが、閉店時刻18時ギリギリだったのでシャッターを閉めている最中でした。あぶない、あぶない。
なんとかお目当ての「エタリの塩辛」(865円)を入手することができましたね。このあと、「ほっともっと 小浜店」で「ライス」(140円)を購入してから宿に戻りました。
エタリというのはカタクチイワシの地方名です。「エタリの塩辛」は島原半島の西側に位置する橘湾沿岸に古くから伝わる伝統食で、明治初期には既に作られていたといわれております。かつては冬の保存食として欠かせないものでしたが、漁師の減少やら冷蔵庫の普及やら減塩ブームやら様々な時代背景によって、生産量は年々減少していったんですね。なので、現在は「幻の珍味」と呼ばれることもあります。
製造元は雲仙市小浜町にある、昭和27年創業のヤマジョウとなっております。主に煮干しや削りぶしなどの、水産加工品を製造販売している会社です。原材料はカタクチイワシと塩のみ。これらを合わせて稲ワラと共に漬け込み、1ヶ月ほど掛けて熟成させるのだそうです。
「エタリ3匹、ご飯1杯」ともいわれるほどの塩辛さで、塩とエタリの割合は6:1くらいになるのだとか。実は昨晩、酒のアテにしたのですが、塩っぱくてほとんど減りませんでした。
宿の1階にある電子レンジでご飯を温めてきたので載せてみました。アンチョビのようなものですが、「エタリの塩辛」は頭も骨も内臓もそのまま使われているので、人によっては見た目がグロいかもしれませんね。でも、これがホントにご飯によく合うんです。独特な風味と骨のシャリシャリ感が少しあるので好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ただ塩辛いだけでなく旨味もしっかりとあるんです。ただ……あと5杯くらいはご飯が必要ですね。残りは部屋の冷蔵庫に置いていくことにしました。「ごめんなさい、食べきれなかったので処分してください」と書いた紙を添えて……。
このあと、宿の周辺を歩き廻ってきました。まずは近くにある小浜神社(小濱神社)を参拝してきました。拝殿の天井には、たった一夜で描かれたといわれる龍の絵があります。
昭和9年に建てられた小浜公会堂(画像左下)・上の川湧水(右下)を経て、ボコボコと音を立てて湧き出る炭酸泉(上)へ。熱そうに見えるかもしれませんが、25℃から27℃くらいしかないんですね。源泉が105℃という高温度で知られる小浜温泉に湧く、唯一の冷泉だそうです。
更に歩いて、小浜歴史資料館まで行ってみました。小浜温泉の発展に大きな功績を残したという、本多湯太夫の邸宅跡でもあります。敷地内には源泉があり、湯けむりがモクモクと立ちのぼっていました。
他に湯雨竹と呼ばれる、昔ながらの竹製温泉冷却装置を見学してきました。し……しぶきが掛かると熱いんですね。当たり前ですけど。
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