長崎県
2021年07月28日
小浜温泉「蒸し釜料理」
前回チラッと予告したとおり、「蒸し釜料理」用の食材を入手するため「新鮮工房 大門 マリーナ本店」というスーパーに行ってきました。
購入したのは、インド産の「無頭エビ」(15尾 430円)・地元小浜産の謎の巻き貝「ミナ」(270g 256円)・県内のスーパーでよく見掛けた生の「味付イワシすり身」(100g 122円)です。ところでミナって何だろう……。長崎県ではシッタカのことをミナと呼ぶそうですが、これはどう見てもシッタカではありません。多分ミクリ貝(※)の一種だと思うのですが、調べれば調べるほどヤヤコシイことになっていったので、途中で検索するのを諦めてしまいました。
※九州にはミクリ貝の仲間をミナと呼ぶ地域がある。ホント……魚貝類の地方名って複雑ですよね。
宿の1階には結構広々とした宿泊客用の調理場があります。調理器具や食器などほとんどのものは揃っているので、好きな食材を持ち込むだけで「蒸し釜料理」を楽しむことができるんですね。
[参考]小浜温泉 湯宿 蒸気家
エビや貝は汁が流れ出るので、皿に載せてからザルに入れます。食材によって蒸す時間が異なるので、ホントは別々にした方が良いのでしょうが、面倒くさいので1つの皿に全て載せました。調理場内に食材別の蒸し時間の目安が書いてあるので、それを参考にすればOKです。分からないことは宿の方が教えてくれます。
素手だと温泉の蒸気(※)でヤケドをする恐れがあるので、先にゴム手袋を着用してから屋外にある蒸し釜へ。ヒモを引っ張って蒸し釜のフタを開け、食材をザルごと置いてフタを閉めます。
※小浜温泉の熱量は日本一で、源泉の温度は105℃もあるそうです。
「使用中」と書かれた札があるので、それをフタの近くに置いたら、あとはしばらく待つだけです。ちなみに隣りの蒸し釜を使っていた若いカップルは、大きなワタリガニを2ハイ蒸かしていました。あとで調べてみたところ、9月から10月頃までの約2ヶ月間限定でいただくことのできる、「夕焼けガニ」という小浜温泉のブランドガニでした。う……羨ましい。でも一体どこで手に入れたんだろう。スーパーにはカニなんて並んでなかったんですよね。(訪れたのは昨年11月です)
「あのオヤジ、変な貝とショボいエビとすり身だけかよ」「この時期に小浜温泉まで来て、ありえなくな〜い?」と、カップルがひそひそと笑って話していた……かどうかは知る由もありませんが、10分ほど経ってからザルを取り出しました。2階の部屋に戻って焼酎と共にいただきます。
味付けは蒸す前に振り掛けた塩のみです。別府・鉄輪温泉でいただいた「地獄蒸し」のときと同様、不思議なことにたったこれだけで、自分が作った(と言っていいのか)とは思えないほどの料理に仕上がるんですね。エビは10分だと少し硬めになってしまいますが、それでも充分といえる旨さがあります。皿の底に溜まった汁(魚介エキス+温泉エキス?)を絡めていただくと、旨さがグッと増して思わず笑顔です。ただ……15尾はちょっと多い気がしますけどね。
謎の巻き貝「ミナ」は、身にツマヨウジを刺してから、貝殻の方をクルクルとゆっくり回せばキレイに取り出せます。見た目がちょっとグロかったので画像はありませんけどね。コリコリザクザクとしたイイ歯応えで、サザエほどではありませんが磯パンチがガツンとくるのがたまりません。イイ感じの苦味もあって、焼酎がついつい進んでしまいます。身は少なめですが、買ってきて良かったなと思いました。……負け惜しみではなく。w
「イワシすり身」は蒸したてでアツアツということもあって、ふっくらふんわりとしています。味がしっかりと付いていながらも、イワシの風味が強く感じられて美味しくいただくことができました。味付けは塩だけなのに、何故か甘味がしっかりと感じられる旨汁もかなりイケます。ちなみに「蒸し釜料理」は、小浜温泉の宿に泊まらなくても「海鮮市場 蒸し釜や」というお店などでも楽しむことができます。
[参考]味付いわしすり身・他
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2021年07月26日
小浜温泉「小浜ちゃんぽん」その2
この日の宿泊地となる小浜温泉に到着しました。小浜温泉のローカルフードの代表格といえば、やはり「小浜ちゃんぽん」ですね。すでに紹介済みではありますが、13年も前のことなので改めていただいてみようと思います。
誰が決めたのかは知りませんが、「小浜ちゃんぽん」は長崎三大ちゃんぽんの1つに数えられるそうです。他の2つは画像左の「長崎ちゃんぽん」と、右の「平戸ちゃんぽん」となっております。更にいうと、日本三大ちゃんぽん(※)は「長崎ちゃんぽん」「小浜ちゃんぽん」「天草ちゃんぽん」になるのだとか。「平戸ちゃんぽん」と「天草ちゃんぽん」が入れ替わっただけ……ですか。う〜ん。
※他に長崎・天草・戸畑とするサイトや、長崎・八幡浜・近江とするサイトもありました。……もう、どうでもいいや。
100年以上前に長崎茂木港から蒸気船で往来していた湯治客によって伝わり、独自に進化を遂げたという「小浜ちゃんぽん」。13年前は供する店が20店舗近くあったはずなのですが、令和元年7月に作られた小浜ちゃんぽんマップに載っている店は14店舗(※)のみ。13年前に訪れた老舗の「蛇の目」も平成26年に閉店してしまったようですし、減少傾向にあるのかもしれません。
※内2店舗は小浜温泉のある雲仙市ではなく南島原市と福岡市です。
「小浜ちゃんぽん」はアッサリとしたスープが多い中、今回は敢えてコッテリ系の人気店「大衆割烹 龍」に行ってみました。
小浜は他の地域と違って生玉子をトッピングできる店が多いので、「ちゃんぽん」の並(700円)の生玉子入り(+50円)を頼みました。
具は豚肉・小エビ・イカ・赤青はんぺん(長崎ちゃんぽんに使われるピンクと緑の練りもの)・揚げカマボコ・キャベツ・モヤシ・玉ネギ・キクラゲで、生玉子がトッピング。「小浜ちゃんぽん」の特徴のひとつでもある、殻付き小エビ(※)は10匹くらい入っています。これが香ばしくて、小さい割に意外と存在感があるんですね。
※店によっては殻付きでないこともあります。
[参考]ちゃんぽん・皿うどん用の蒲鉾
トンコツベースのスープは、ほんの少しトロミがあって旨味がガツンとくる濃厚な味わい。たまりませんね、コレは。くたびれたおじさんには少し塩気が強めなのですが、ゴクゴクゴクゴクとついつい進んでしまいます。ちゃんぽん麺は柔らかいながらも少しムニュムニュとした、コシというのとはまたちょっと違ったイイ歯応えがあるんですね。「小浜ちゃんぽん」に多いアッサリ系とは違いますが、とても満足度の高いものでした。人気なのも頷けます。
[参考]小浜ちゃんぽん 4人前
この日の宿はコチラ。「小浜温泉 湯宿 蒸気家」で、GoToトラベルを利用して和室1室が1泊2,860円(17時以降のチェックインプラン)+駐車場代250円。地域共通クーポンが1,000円分貰えたので、実質2,110円となりました。
↓コチラで予約しました。
小浜温泉 湯宿 蒸気家
今回この宿を選んだのは、ご覧のような温泉の蒸気を利用した蒸し釜があるからなんですね。好きな食材を持ち込み、これで蒸し上げるんです。もちろん、宿泊客は何度でも無料で使用できます。
11年ほど前に紹介した、画像の別府・鉄輪温泉の「地獄蒸し」と同じ調理法です。部屋でひと休みしたら、近くのスーパーで食材を買ってこようと思います。
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2021年07月23日
雲仙温泉「湯せんぺい」
雲仙を代表する銘菓のひとつに、「湯せんぺい」というものがあります。「べい」ではなく「ぺい」と表記するのですが、「煎餅のことを九州地方の方言で“せんぺい”ということがあるから(※1)」「米粉ではなく小麦粉で作られているから」「長崎中華街で月餅の餅を“ぺい”と読んだから」「食感が軽いから」などといった説があるそうです。歴史は古く、最後の島原藩主・松平忠和公に献上するために作られた菓子が始まりなのだとか。今も製造販売している業者は雲仙温泉に3軒(※2)、小浜温泉に3軒確認できました。
※1:佐世保には「九十九島せんぺい」、博多には「にわかせんぺい」がある。
※2:内1軒は「湯せんべい」と表記。
発祥地は小浜温泉となるのですが、雲仙温泉にある昭和39年創業の「松坂屋湯せんぺい本舗(松坂商店)」に行ってみました。店内には「湯せんぺい」の甘いイイ香りが漂っております。
15枚入りのもの(540円)でも良かったのですが、普段甘いものをほとんど口にしない私には、ちょっと量が多いんですよね。かといって、1枚(50円)では少なすぎるし……。
というワケで、5枚入りのもの(250円)を購入しました。これはハネ付きというレアな商品でもあります。
クルマを停めていた近くの駐車場で、早速いただいてみました。プリントされていないビニール袋に入れただけのものなのでお土産向きではありませんが、自分で食べるだけならこれで充分ですね。
原材料は小麦粉・玉子・砂糖。「湯せんぺい」というだけあって、水の代わりに温泉水を加えて生地を作るそうです。「松坂屋湯せんぺい本舗」では、それを5枚1組の金型に流し込んで焼き上げます。そのときにはみ出たハネを切り落としたものが、ちゃんとした商品となるのですが、ハネの方が好きという方も少なくないのだとか。解ります、解ります。
ヒマだったので1枚だけハネを取ってみました。この状態で直径105mmほどです。しかし……思ったよりもキレイに割れないもんですね。
雲仙温泉はかつて外国人の避暑地・保養地として栄えていたため……かどうかは知りませんが、裏には「YUSENPEI」の文字があります。パリパリサクサクとした軽い歯応えがイイ感じ。甘いものが好まれる長崎ですが、意外にも甘さは控えめなんですね。少し芳ばしさもあって美味しくいただくことができました。店内に漂っていたのと同じ甘いイイ香りが手に移るので、それをクンクン嗅ぎながらしばらく余韻を楽しむこともできます。
軽くて値段も手頃で3ヶ月くらい日持ちするので、お土産にも宜しいかと思います。長崎空港には、小浜食糧と三宅商店の「湯せんぺい」が並んでいました。ちなみにですが、長崎銘菓の「クルス」は「湯せんぺい」がルーツとなるそうです。
[参考1]小浜食糧 湯せんぺい
[参考2]小浜食糧 クルス
このあと、雲仙温泉の近くにある白雲の池に寄ってから小浜温泉に向かいました。
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2021年07月21日
雲仙温泉「地獄蒸し温泉たまご」
雲仙地獄巡りの話の続きです。お糸地獄と呼ばれるところに着きました。不倫をしたあげく夫を殺してしまった、お糸という女性が処刑されたところなんだとか。……怖いよ〜。
家庭を乱すと地獄に落ちるぞ……という戒めを込めて、お糸地獄と名付けられたそうです。そんな場所に、雲仙地獄茶屋(雲仙地獄工房・雲仙地獄見台兼休憩所・雲仙地獄足蒸しの総称)があります。
折角なので、「雲仙地獄工房」で名物の「地獄蒸し温泉たまご」をいただいていこうと思います。繁忙期には、1日2,000個以上も売れるほど人気があるそうです。しかし……店のお姉さんは1日中1人でずっと、こんな蒸気モクモクで硫黄臭漂うところに居るんですかね。余計なお世話ですけど。
さすがに1人で5個は食べられないよな……と思って訊いてみたら、2個(200円)から買えるとのこと。店内で早速いただいてみました。当然のことながらアツアツなので、割る際には注意が必要です。
ちなみにこの「地獄蒸し温泉たまご」は、1個食べたら1年長生き。2個食べたら2年長生き。3個食べたら死ぬまで長生き……といわれているそうです。
温泉玉子といっても、高温の蒸気で蒸すので半熟ではありません。けれども白身は柔らかめでプルンプルン、黄身はしっとりとイイ具合に仕上がっております。温泉から作られているという塩をチョコンと付けていただくと、旨さも倍増されるような気がしますね。硫黄臭もイイ意味で調味料となっていました。
「雲仙地獄工房」から坂を上っていくと、雲仙地獄の中でも最も活発に噴気しているという大叫喚地獄に付きます。その名のとおり噴気孔からゴォーッという音が鳴り響いていて、なかなかの迫力があります。画像だと全然伝わらないでしょうけどね。
他に邪見地獄・葬頭川の婆石・浄瑠璃の鏡石・小さな小さな泥火山などを観て、雲仙地獄巡りを終えました。
雲仙温泉には現在2つの共同浴場があるのですが、この日の宿泊地が小浜温泉だったので今回はスルー。
代わりに足湯で満足してきました。やっぱり入っておけば良かったなぁ……と、今は後悔しております。(涙)
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2021年07月19日
雲仙温泉「雲仙ハヤシ」
標高約700mのところにある雲仙温泉に着きました。地面から吹き出す蒸気によって視界が悪くなることがあるため、清七地獄(約30ヶ所の地熱地帯から成る雲仙地獄のひとつ)の周辺は駐停車禁止となっています。
雲仙地獄巡りをする前に腹ごしらえをしておきます。9時から営業している、「喜久」というお店に入りました。お目当ては、地域おこし系の「雲仙ハヤシ」です。雲仙温泉は明治期から昭和初期に掛けて、外国人の避暑地・保養地として栄えていたそうです。彼らの口に合うようにと、カツ丼にデミグラスソースを掛けたものを「洋風丼」として出したところ大人気となったんですね。平成26年にそれを地域おこしのために復活させたのが、「雲仙ハヤシ」というワケです。
店内のどこにも「雲仙ハヤシ」の文字が見当たらないので、店のお母さんに訊いてみたところ、「壁にあるハヤシライスがそう」とのこと。
卓上のメニューには、以前紹介した「スーパイコ」もありました。もちろん、「ちゃんぽん」や「皿うどん」もございます。
ご飯は柔らかめで、ドンブリ1杯分よりもやや少なめといったところ。ハヤシソースの具は薄切りの牛肉と玉ネギのみで、パセリが少々トッピング。ソースは比較的サラッとしていて、程良い酸味と優しい甘味があります。旨味が充分ありながらもアッサリとした仕上がりなので、朝からでもペロッといけちゃいますね。玉ネギはシャキシャキのものと柔らかいものが混ざっていて、なかなか面白い食感でした。
あとで気付いたのですが、元々の「洋風丼」はカツ丼にデミグラスソースを掛けたものだったんですよね。でもこれにはカツが載ってません。供する店は約10軒あるのですが、何故か他の店の「雲仙ハヤシ」にもカツが載っていないんですよね。(1軒だけ載せてる店がある)どうしてこうなっちゃったんでしょう。このお店には「ハヤシカツ丼」というものもあるのですが、そちらの方が「洋風丼」に近いのでは……。う〜ん、ナゾです。
このあと、お店の向かいにある温泉神社を参拝してきました。島原半島にかつて18社あった温泉神社の総本山となるそうです。「おんせんじんじゃ」ではなく、これで「うんぜんじんじゃ」と読むんですね。
そこから更に奥へと進み、地獄巡りをしてきました。画像は八万地獄です。案内板には、「八万地獄というのは、人が持っている八万四千の煩悩によってなされた悪行の果てに落ちる地獄のこと……」と書かれていました。煩悩の数って108つだよな……と思ったのですが、仏教で数の多いことを「八万四千(はちまんしせん)」と表現するのだそうです。
コチラは少し坂を上ったところにある、八万地獄展望台からの眺めです。雲仙地獄巡りはまだまだ続きます。
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