洋食
2023年07月24日
涌谷町「玉子とじカツカレー」
少し時間に余裕があったので、橋で渡ることのできる雄島まで行ってみることにしました。
日本三景で知られる松島ですが、中世は「奥州の高野」と称される霊場だったそうで、雄島はその名残がある場所のひとつでもあるんですね。かつて108あったといわれる岩窟は現在50ほどになっていますが、中には石仏や石塔などが残されています。
松島の中心部に近い割には観光客が少ないので、個人的にはお薦めです。
松島から25kmほどのところにある、涌谷町までやってきました。この辺りには、「カツカレー」と玉子とじタイプの「カツ丼」が一体化されたようなものが見られるんです。「あじわいの朝 涌谷店」という直売所では、そのお弁当が売られていました。供する店はこういったものも含めて、涌谷町と隣の美里町に7軒確認できています。ちなみに、7年前に紹介した「ひらた食堂」もその1つです。
今回は元祖だという、昭和45年創業の「パーラー旅」というお店に行ってみました。町外れでしかもお昼時を過ぎているにも拘わらず、人気があるようで意外と広い店内はほぼ満席。辛うじてカウンター席に座ることができました。やはり「カツカレー」を召し上がってる方が多いですが、「ラーメン」の方も結構いらっしゃいます。
ジャンボや超ジャンボなんてものもあるんですね。もちろん頼んだのは、普通サイズの「カツカレー」(800円)ですけど。店のおばちゃんに「お待ちいただきますけど宜しいですか?」と聞かれましたが、仮に1時間であっても平気で待ちますよ。
結局、30分ほど待ったところで「カツカレー」がやってきました。とてもアッサリとした、ワカメとネギ入りの中華スープが付いています。
カレーライスの上には玉子でとじられたトンカツが載り、福神漬けが添えられております。小麦粉感のあるカレーは、昭和の食堂を思わせるとても懐かしいイイ味わいで、甘味というか深味も感じられますね。具は豚バラ肉・ジャガイモ・トロトロになった玉ネギが確認できます。
トンカツにはヒレ肉が使われており、「カツ丼」と同じように割り下で甘塩っぱく味付けされているんですね。面白いなぁ……。ただ、こちらに玉ネギは入っていません。
肉の厚さは1cmほど。ヒレ肉なので柔らかく、「カツカレー」にしてはヘビー感が弱めなので、くたびれたおじさんでも美味しくいただくことができました。
ちなみに営業時間は11時30分から15時までとなっていますが、この日は14時10分頃に「本日終了」の札を入口に掛けていました。もし行かれる方はご注意ください。
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2023年06月30日
福島市「ふくしまブルブル」
二本松市から21kmほどクルマを走らせ、福島市にある御倉邸までやってきました。昭和2年に建てられた、日本銀行 福島支店長の役宅です。戦前の日銀役宅で現存してるのは、ここと新潟市にある砂丘館(昭和8年築)の2ヶ所だけなのだそうです。画像左下は米沢藩の米蔵として平成23年に復原されたものです。
無料で公開されているので、邸内もちょっと覗いてみました。窓ガラスはドイツ製の手作り板ガラスで、東日本大震災のときでも割れることはなかったそうです。
帰り際に御倉邸から阿武隈川を眺めてみました。かつて舟運が盛んだった頃は、この近くにあった河岸から江戸まで年貢米が運ばれていたんですね。
先にホテルのチェックインを済ませてから、福島駅の近くにある昭和54年創業の「珈琲グルメ」という喫茶店に行きました。先ほど二本松で「ざくざく」なるものをいただきましたが、今度は「ブルブル」なるものをいただきます。
「ブルブル」は「ブルドック」というお店の名物料理でした。福島市新町にあった昭和37年創業の洋食店で、店主が逝去されたため平成17年に惜しまれつつも閉店。のちに商店街振興組合の有志が立ち上がり、ご息女の協力を得て平成27年に「ふくしまブルブル」として復活を遂げることができたんですね。かつては供する店が10軒ほどあったのですが、現在は3軒(※)にまで減っているようです。
※昨年10月の訪問時は4軒確認できました。
喫茶店なので当たり前ですが、店内にはコーヒーのイイ香りが漂っています。老舗感も漂っていて、老若男女で結構賑わっているんですね。
イチ推しとしているのか、「ふくしまブルブル」(870円)はフードメニューの筆頭にありました。プラス300円でドリンクを付けることもできます。
1枚の皿の上に、豚肉のソテー・タマネギ・レタス・ライスが載っております。「ブルドック」では豚肩ロースが使われていたそうですが、こちらでは豚バラが使われているんですね。
弾力があって断面は薄らピンク色。意外とこってり感はそれほどなく、レモンとブラックペッパーがイイ具合に利いていてさっぱりといただけます。酸っぱくて辛くて思わず体がブルブル震える旨さがあるから「ブルブル」と名付けられた……そうなのですが、アレンジされているのかそこまでパンチは効いていません。とても食べやすく仕上がっています。
醤油ベースのソースがちょっぴり染みたライスが、何気に旨かったりするんですね。個人的にはもう少しレモンが効いている方が嬉しいですが、とても美味しくいただくことができました。
ホテルに戻る途中、「山女」というお店の前を通りました。14年ほど前に「円盤餃子」をいただいた昭和39年創業の餃子店です。今も人気があるようで、店の周りにはお客さんが数名待っておりました。
この日の宿は、福島駅の近くにある「ホテル板倉」です。全国旅行支援を利用して、南館ツインのシングルユースが1泊3,960円。さらに地域限定クーポンが3,000円分貰えたので、実質960円となりました。駐車場は無料です。
↓こちらで予約しました。
ホテル板倉
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2023年05月15日
横浜市中区「元祖ケチャップナポリタン」
赤レンガ倉庫までやってきました。……が、設備メンテナンスに伴う大規模改修工事のため、休館となっていたのでスルー。
※昨年6月の話です。12月に再オープンしました。
すぐ近くにある海上保安資料館 横浜館を見学してきました。平成13年のことなので、もう記憶からほぼ消えてしまっている九州南西海域工作船事件。海上保安庁の巡視船に追い詰められて自爆(推定)し海に沈んだ、あの北朝鮮の工作船が引き揚げられて、多数の武器や証拠品などの回収物と共に展示されています。
漁船を装った特殊船の船尾には、上陸用の小型舟艇が格納されていた大きな空間。真相は明らかになっていないところも多いのですが、この工作船は覚せい剤の密輸に使われていたと、東京地方検察庁により平成18年に認定されました。生々しい姿をまじまじと見ていると、ここが若い人たちで賑わう赤レンガ倉庫のすぐ近くであるということを、ついつい忘れてしまいますね。
大さん橋に移動し、「くじらのせなか」と呼ばれる屋上広場から、横浜ベイブリッジ・山下公園に係留されている氷川丸・横浜三塔・赤レンガ倉庫などを眺めてみました。
大さん橋にはこの日も飛鳥IIが停泊中。日本最大のクルーズ客船で、ここ横浜港が船籍港となります。世界一周とまではいいませんが、いつかこんな船で旅をしてみたいもんですね。
そこから2.5kmほど歩いたところにある、昭和43年創業の「萬福」という中華料理店に行ってみました。……が、店先の貼り紙には「本年4月をもって閉店」と書かれています。「横浜系バンメン」を供する希少なお店が、これでまたひとつ減ってしまいましたね。
仕方がないので予定を変更。この界隈に何軒かある老舗洋食店にでも行ってみますか。横浜で興味のある店はグーグルマップにいくつも登録してあるので、こういう時に便利ですね。画像左上は以前「東横系トルコライス」をいただいた昭和28年創業の「ミツワグリル」、右上は「パルメザン」をいただいた昭和47年創業の「イタリーノ」です。
今回は昭和21年創業の「センターグリル」へ行ってみました。ケチャップを使ったナポリタンの元祖……といわれるお店です。ナポリタンの発祥は諸説あるのですが、かなりヤヤコシイことになっているので、ここで触れるのはやめておきます。詳しくはWikipediaをご参照ください。
当然のことながら、注文するのは「スパゲッティナポリタン」(800円)です。
念のためランチメニューも確認しましたが、残念ながら載っていませんでした。「スパランチ」に入っているイタリアンスパというのは、具無しケチャップスパにミートソースが掛かったものです。
具はハム・タマネギ・マッシュルームで、ピーマンと粉チーズがトッピング。添えられているのは千切りキャベツとポテトサラダです。麺は昭和3年に日本で初めて製造されたスパゲッティ「ボルカノ」で、名古屋めしのあんかけスパやロメスパなどに多く見られる、2.2mm(一般的には1.6mm前後)の極太麺が使われています。
ケチャップ感全開でハッキリとした酸味と甘味があり、昭和人にはたまらない懐かしの旨さ。茹で置きなのでアルデンテとは異なりますが、何ともいえないモッチリとしたイイ食感があるんですね。ケチャップのネットリ感もステキです。後半は卓上にあるタバスコを掛け、さらに昭和感をアップさせて美味しくいただきました。「萬福」の閉店は残念でしたが、この店に来られる切っ掛けとなったので、結果的には良かったな……と思いました。
[参考]センターグリルの横濱ナポリタンセット 4人前
[おまけ]九州南西海域工作船事件の映像
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2023年04月12日
香取市佐原「佐原のジクセル」
今回の旅、12日目。朝食はホテルのバイキングですが、特に千葉っぽい料理は見当たりませんでした。初めて利用した「ご飯盛り付けロボット」は、お茶碗をセットして小盛・中盛・大盛のいずれかのボタンを押すと、ふんわりご飯がポトッと落ちてくるんですね。ただそれだけのことなのですが、ちょっと笑っちゃいました。画像は小盛(70g)のご飯です。
ラジウム人工温泉の大浴場でひとっ風呂浴びてから、ゆっくり9時過ぎにチェックアウトしました。フロントのお姉さんに訊いてみたところ、クルマは夕方くらいまでなら停めておいても大丈夫とのこと。ありがとうございます。
なので、歩いて重要伝統的建造物群保存地区まで行きました。かつて利根川の水運で繁栄した佐原の町は、今も江戸時代の風情が残されています。全国に現在126地区ある重伝建の中で、見どころが多いながらも行き過ぎない程度に観光地化されていて、個人的にはベスト10に入るところです。利根川の支流となる小野川の蛇行や、川沿いに植えられている柳の木も魅力のひとつですね。
JR成田線の近くにある開運橋の鯉の像を撫でると、幸運になると伝えられているそうなのでナデナデしてきました。周りに誰もいないことを確認してから……。
「小江戸さわら舟めぐり」の乗船券が付いた宿泊プランだったので、早速乗ってみることにしました。平日の午前中なら空いているだろうと思ったのですが、ほぼ満席なんですね。
伊能忠敬旧宅前にある樋橋のたもとで乗船し、利根川の手前の北振橋辺りで引き返すというコースになります。この樋橋は元々農業用水を水田に送るために架けられたもので、水の落ちる音からジャージャー橋とも呼ばれています。現在の橋は観光客向けに架け替えられたもので、水が30分おきに流れ落ちるようになっています。船が出発すると同時に、運良くその様子を観ることができました。
こうやって川面から眺める佐原の街並みってのもイイもんですね。所要時間は約30分ですが、船頭さんの話を聞きながら、また写真をパシャパシャ撮りながらだとあっという間でした。
樋橋から1kmほど歩いたところにある、「洋食おぎ」というお店にやってきました。お目当ては「ジクセル」という、名前からはどんなものか全く想像できない料理です。供する店は前回紹介した「インディアンライス」と同じく、佐原にある「東洋軒」「洋食おぎ」「洋食ヒロ」の3軒のみ。元祖も同じく、大正15年創業の「東洋軒」で間違いないと思います。但し「割り下を使ったジクセル」という条件付きですけどね。詳しくは後ほど。
「東洋軒」の「ジクセル」はポークのみ(※)でしたが、こちらはチキンとポークの2種。「インディアンライス」がポークだったので、「ポークジクセルライス」(900円)を頼んでみました。
※かつてはポーク・チキン・エビの3種があったそうです。
ポークジクセル・サラダ(パセリ・キャベツ・レタス・トマト・マヨ・甘いポテサラ)・ご飯・味噌汁(豆腐・大根・シメジ)・漬物・果物(オレンジ・リンゴ)といった内容です。
「ポークジクセル」はテレビ番組などの情報によると、塩コショウを振った豚ロースに玉子と小麦粉を絡めて焼き、「インディアンライス」と同じ割り下に潜らせるのだそうです。なので、チーズの入っていない和風ピカタといった感じの味わいなんですね。厚さ8〜15mmほどの豚肉は、少しスジがありますが柔らかくてジューシー。ところどころスポンジ状になっている衣に染み込んだ甘めの割り下と、脂の甘味が相まってご飯にピッタリといった旨さがありました。
先ほど佐原にあるにある3軒のみで供されていると書きましたが、同じ千葉県にもう1軒、それとなぜか遠く離れた福井(※1)・三重・京都・大阪・兵庫にも10数軒見られるんですよね。店によってジクセル・ジクセリ・ヂクセリ・ジュクセリー・ジュクセルなど表記は異なりますが、いずれもピカタ風の似たような料理なので何かしらの接点があるのでしょう。ただ、佐原の「ジクセル」が割り下を全体に絡めるのに対し、他はデミグラスソース・トマトソース・ホワイトソース・トンカツソースなどを上から掛けるという違いがあります。ちなみに京都市にある「グリル小宝」のメニューには、「ジクセル:Bruxells」と唯一外国語が併記されています。それと4種(※2)ものジクセルがあるので、もしかしたら元祖、あるいはそれに近い位置にあるのかもしれません。調べてみたところ、Bruxellsはフランス語でブリュッセル(ベルギーの首都)のことだそうです。ということは、ブリュッセル風のピカタということなんでしょうかね。これ以上探ると頭が痛くなりそうだったので、やめておくことにしました。
※1:ソースカツ丼で有名な敦賀ヨーロッパ軒系列。
※2:ポーク・チキン・エビ・ビーフの4種で、どの店よりも多い。
【令和5年4月13日修正】三重・兵庫・ジュクセル・ホワイトソースを追加しました。
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2023年04月07日
香取市佐原「インディアンライス」
この日の宿泊地となる「北総の小江戸」、佐原までやってきました。利根川の水運によって江戸を凌ぐほど繁栄したことから、「江戸優り(えどまさり)」とも称されたところです。
ホテルの部屋で1時間ほど休憩したあと、大正15年創業の「東洋軒」という老舗洋食店に行きました。お目当ては、「インディアンライス」なるものです。こちらのお店が元祖となるようで、その流れを汲む「洋食おぎ」と「洋食ヒロ」の計3軒で供されています。「佐原にたった3軒のみ」なのでローカルフードというには弱めなのですが、「佐原駅からたった600m圏内に3軒もある」ともいえるんですよね。
「インディアンライス」(800円)の他に、「ポークジクセル」という聞き慣れないものもありますが、これは次回紹介させていただきます。
「インディアンライス」は簡単にいうと、ドライカレーに割り下で味付けしたポークソテーを添えたものです。他にキャベツ主体のミニサラダ・油揚げとワカメとネギの味噌汁・漬物、箸とスプーンが付いてきました。
ドライカレーの具は、細かく刻まれた玉ネギのみ。これだけだと薄味ですが、ポークソテーと一緒に口へ運ぶと丁度イイ感じになります。この画像だとグリンピースは3つに見えますが、実際は8つ載っております。
サクッとした食感の豚ロースは厚さ1cm前後。割り下で味付けされていることもあって、やや和を感じる昭和洋食的なイイ味わいです。割り下が少しドライカレーに浸みているのですが、これがミョーに旨かったりするんですよね。時々ジュワッとやってくる豚の脂の甘味もたまりません。といっても、全体的にそれほどコッテリ感はなく、普段あまり脂っこいものを食べないおじさんでも美味しくいただくことができました。
店を出たあと、重要伝統的建造物群保存地区を散策してきました。日が暮れてしまったので、ほとんどのお店は閉まってますけどね。
さわら町屋館という無料休憩所が開いてましたが、人の気配は全くありません。結局、1時間ほど散策。その間に観光客らしき人を見たのは3回くらいでした。
まぁ……その分、日中とは違った閑静な佐原の街並みを楽しむことができましたけどね。
この日の宿は、こちらの「ホテルルートイン香取佐原駅前」です。千葉とく旅キャンペーンを利用して、朝食・乗船券(1,300円)付きプランのコンフォートシングルが1泊5,500円。さらに地域限定クーポン券2,000円分が貰えたので、実質2,200円となりました。駐車場は無料です。
↓こちらで予約しました。
ホテルルートイン香取佐原駅前
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