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2024年01月15日

桐生「コロリンシュウマイのルーツ」他

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「もっそ飯」をいただいた「新田乃庄 寒山亭」から北へ6kmほどのところにある、藪塚石切場跡を見学してきました。4年前に太田市を訪れたときは、間違えて菅塩石切場跡に行ってしまったんですよね。

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駐車スペースから山道を歩いて5分ほどだったでしょうか。切り立った石の門(前の画像)を潜ると、高さ約30mの石壁に囲まれた、古代遺跡を思わせるような空間が現れます。明治時代から昭和35年までの間、藪塚石と呼ばれる建築用石材を採石していたところです。大正時代の最盛期には、約350人もの作業員が働いていたのだとか。

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ネット上には立入禁止という情報もあったのですが、このとき(一昨年12月)はそのような看板や柵などは一切見当たりませんでした。ただ……柔らかい石質らしいのでそれなりの危険は伴うでしょうし、人気がない・場所が分かりづらい・専用の駐車場がないといったこともあるので、あまりオススメはしませんけどね。

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すぐ近くにある北山古墳にも行ってみました。7世紀後半に造られたとされる、藪塚石を用いた直径22mほどの円墳です。かつてこの辺りには多くの古墳があったそうです。

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そこからクルマを8kmほど走らせたところにある、「大澤屋」というお店に行きました。桐生駅からだと約2km。とても小ぢんまりとしたお店で、8人も座ったらぎゅうぎゅう詰めといった感じです。創業は昭和20年頃らしいのですが、店のお母さんの話ではハッキリとしたことは分からないとのこと。

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桐生市民のソウルフードともいわれる「コロリンシュウマイ」をこれまでに2度紹介してきましたが、今回訪れた「大澤屋」さんがルーツとなるようです。

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メニューはこれだけ。右下には控えめに「元祖」の文字があります。「シウマイ」(30円)を3個と「エビ入りシウマイ」(30円)を2個、それと「ポテト入り焼きそば」の普通盛り(300円)を頼みました。シウマイだけというのも何なので。

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先に「ポテト入り焼きそば」がやってきました。茹でたり蒸かしたりしたジャガイモが入った、両毛エリア広域に見られる焼きそば(※)です。このブログでは何度も紹介していますが、数えてみたらこれで11回目になるんですね。具はジャガイモ・キャベツ・モヤシで、紅ショウガが載り青海苔が振り掛けられております。

※ポテト焼きそば・ジャガイモ入り焼きそばなどとも呼ばれます。

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しっとりとした柔らかいジャガイモと、たっぷり入ったモヤシのシャキシャキ感とのコントラストが楽しいですね。麺も結構柔らかく、ソース感が強めでちょっと懐かしい味わいがありました。

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こちらの「シウマイ」は、「コロリンシュウマイ」と比べて少し細長いんですね。奥の「エビ入りシウマイ」は一般的な焼売に近い形状。主原料はすり潰したジャガイモ・玉ネギ・片栗粉で、水や調味料は一切使っていないそうです。皮に包まれていないし肉も入っていない……しかもウスターソースと青海苔が掛かっているのに、どことなく焼売っぽい味がするから不思議なんですよね。エビ入りの方は乾燥エビが使われていますが、こちらもエビ焼売っぽい味わいがあって美味しくいただくことができました。一般的な焼売には無い、独特なプニプニした食感もステキです。

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ところで……何故このようなものが誕生したのでしょう。「大澤屋」の現店主のおばあちゃんが、昭和初期に東京で食べた焼売に感銘を受け、桐生に帰ってから再現しようとしたそうです。しかし当時はまだ肉が高価だったので、ジャガイモを代用したんですね。そうして出来上がったのが、片栗粉の塊のような独特な「シウマイ」……というわけです。のちにリヤカーを引いて商売をしていたご夫婦(※)にレシピを伝授。それは「コロリンシュウマイ」と名付けられ、やがて桐生市民のソウルフードとなっていくのでした。他にもお母さんがいろいろと教えてくれたのですが、ちょっとここには書きづらいのでやめておきますね。気になる方はお店まで出向いて、直接お話ししてみてください。

※コロリンシュウマイの現店主の先々代。

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この日の宿は「ビジネスホテル西桐生」です。全国旅行支援を利用してシングルが2泊で6,072円(駐車場は無料)。さらに地域限定クーポン6,000円分と桐生市独自の桐生ペイが4,000円分貰えたので、実質タダ……どころか3,928円もプラスになってしまいました。実はこのポイントが貰える、「桐生に泊まってお得キャンペーン ※」なんてものがあるとは知らなかったんですよね。予約時に気付いていれば、桐生に1週間くらい泊まったのに……(笑)。ちなみに、ポイントは全てガソリン代となりました。

※令和4年12月1日から令和5年2月28日までのキャンペーン。一昨年12月の話です。

↓こちらで予約しました。
ビジネスホテル西桐生

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2023年07月03日

飯坂温泉「ラヂウム玉子」その2

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今回の旅、4日目。福島駅の近くにあるホテルから11kmほどクルマを走らせ、飯坂温泉までやってきました。奥州三名湯のひとつに数えられるところで、福島の奥座敷とも称されております。

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温泉街には9つもの共同浴場があります。その中で最も歴史のある、鯖湖湯(※)でひとっ風呂浴びてきました。老朽化により平成5年に改築されるまでは、日本最古(明治22年築)の木造建築共同浴場だったそうです。約45℃の湯ということで、私にはちょっと熱かったです。ちなみにここは飯坂温泉発祥の地とされており、松尾芭蕉も湯に浸ったといわれています。

※屋内は撮影禁止となっています。

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飯坂温泉は日本で初めてラジウムが含まれていることを確認できたところでもあり、飯坂温泉駅前には温泉玉子が載ったモニュメントが建っています。キュリー夫妻が放射性元素ラジウムを発見したのが明治31年。その6年後の明治37年に判ったんですね。

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その源泉で作った温泉玉子は、ラジウム玉子・ラジウム温泉たまご・ラヂウム卵・ラヂウム玉子などと称して販売しています。「ラジたま満喫マップ」によると、製造販売している店は飯坂温泉街だけでも8軒あるそうです。15年前に紹介したのは隣の伊達市にあるメーカー(※)のものだったので、改めて購入してみようと思います。

※もちろん飯坂温泉の湯で作られていますけど。

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明治11年に青果店として創業した、「阿部留商店」に行ってみました。店先には元祖の文字があります。昭和8年に2代目が飯坂温泉名物として販売したのが始まりなのだそうです。

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廉価なプラケース入りもありましたが、ちょっと味気ないかなと思ったので化粧箱入りの「ラヂウム玉子」(赤玉6ヶ入り 600円)を購入。500円分の地域限定クーポンを使ったので支払いは100円で済みました。

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「阿部留商店」では約70℃の源泉に約1時間浸けて作るとのこと。店によって製法が少し異なり、黄身や白身の硬さなどに違いがあるそうです。

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発売当時から変わらぬパッケージは、2019年度にグッドデザイン賞を受賞しています。店内ではTシャツなども販売されていました。

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1つだけいただいてみました(※1)。賞味期限は10℃以下の保存で製造日から約2週間となっていますが、残り5つは常温保存(※2)で翌日以降に毎日1つずついただきました。

※1:実際はこの日の宿でいただきました。
※2:昨年10月末の話です。夏だとヤバいかもしれません。

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温泉玉子にしては黄身も白身もやや固めで、ご覧のように形が崩れることはありません。

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黄身はネットリとしていて濃厚な味わい。ちょっと独特な風味があって、何も味付けしなくても充分美味しくいただくことができました。旅行者にはハードルが高いかもしれませんが、何軒か食べ比べてみて好みのものを探すというのも面白そうですね。

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2023年05月31日

鴨川「チッコ・カタメターノ」

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粟又の滝自然遊歩道を散策したあと、3kmほど北にある遠見の滝を観てきました。川廻しと呼ばれる工法で作られたトンネルの中を流れ落ちる、とても小さな滝です。

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そこから17kmほどクルマを走らせ、濃溝の滝・亀岩の洞窟に移動。画像はその途中に通った国道465号の蔵玉隧道です。拡幅工事(※)のために設置された仮設トンネルの青いLED照明が、近未来的だと話題になっていたので撮影してみました。……が、青く光ってませんね。何故だか分かりませんが、ちょっと残念。

※昨年6月の話です。工事は既に完了しているので、もう見ることはできません。

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洞窟に射し込む太陽の光がハートマーク(※)のように見えることで有名な、こちらの亀岩の洞窟も川廻しによるものです。トンネルを掘って蛇行する川をショートカットし、それまで川だったところを水田などに転用するそうで、そのほとんどは江戸時代に作られたものなのだとか。千葉県の上総地方などでは、このような手掘りのトンネルや切り通しが多く見られます。

※ハート形の光が見られるのは、3月と9月のお彼岸前後の6:30〜7:30頃だそうです。

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さらに20kmほどクルマを走らせ、東京から1番近い棚田といわれる大山千枚田までやってきました。棚田の向こうには、千葉県の最高峰となる愛宕山(408.2m)が見えます。全都道府県の最高峰の中で最も低い山でもあります。

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ここへ来るのは3度目となりますが、晴天なのは初めてですね。やっぱり青空の下で眺める棚田は気持ちがイイです。

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大山千枚田の駐車場から坂を少し上ったところにある、「棚田カフェ ごんべい」に入りました。NPO法人の大山千枚田保存会が運営するお店です。実はこちら、1ヶ月半前に訪れたときは運悪く臨時休業だったんですよね。

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お目当ては「チッコ・カタメターノ」なるもの。それが上に載っている、「嶺岡ちっこ米めん」(800円/現在は900円)を頼んでみました。嶺岡というのは愛宕山を中心とした嶺岡山地のことでもあり、ここから3kmほど南にある嶺岡地区(※)のことでもあります。

※現在の南房総市大井地区で、日本酪農発祥の地といわれています。

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「乳っこ(※)固めたもの」が名の由来だという「チッコ・カタメターノ」は、簡単にいうと温めた牛乳に少量の酢を加えて固めたものです。元々は出荷することができない牛の初乳を使った、酪農家の家庭料理なのだそうです。フレッシュチーズそのものといった感じで、モッツァレラチーズやカッテージチーズを思わせる味わいや舌触りがあります。クセはほとんどないので、いくらでもいけちゃいますね。

※乳っこ(ちっこ)は房州弁でおっぱいのことだそうです。

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他の具は海苔・モヤシ・ニンジン・キャベツ・青菜・コーン。スープはタンメンのような、とてもアッサリとしたイイ味わいがあります。

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大山千枚田で収穫された棚田米を100%使った自家製麺は、1.5〜2mmほどの太さでスパゲティのようにも見えますね。少しモッチリとしていて、箸でつかみづらいほどツルッツル。ちょっと食べづらかったですが、全体的に美味しくいただくことができました。

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相方の頼んだ「チッコライスバーガー」(味噌汁と漬物付きで600円/現在は800円)は、コンビニのおにぎり2個分以上ありそうなボリューム。「チッコ・カタメターノ」が挟んであるのですが、味付けをして焼いてあるためかチーズ感がちょっと弱めでした。

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このあとに寄った千葉県 酪農のさとに、酪農業協同組合別 酪農家のチッコ・カタメターノ認知率(平成26年度)というデータがありました。同じ千葉県の酪農家でも、地域によってはほとんど知られていなかったり、呼称も違ったりするようです。

[おまけ]チッコ・カタメターノの作り方


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2022年12月26日

市原「豆造」

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クルマを使って、千葉県へ11泊12日の旅に行ってきました。もう7ヶ月も前の話なんですけどね。まずは市原市に向かうため湾岸道路を経由する予定でしたが、出発が遅れてしまったのでアクアラインを利用することに。川崎区辺りで渋滞するだろうと思っていたら、すんなり通過してしまいました。このままだと逆に早く着きすぎてしまうので、海ほたるPAに寄って時間調整することにしました。日本で唯一、人工島にあるPAです。

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久し振りの海ほたるなので、ぐるぐる歩き廻ってみました。……といってもまだ7時前なので、24時間営業の蕎麦屋とコンビニくらいしかやってませんでしたけどね。

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アクアラインを抜けて国道16号を北上すると、まさかの大渋滞。日本でも有数の臨海工業地帯であることを、ころっと忘れていました。何やってんだか……。

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ただ、目的地の「道の駅あずの里いちはら」は臨海部から離れたところにあるので、開店時刻の9時前になんとか着くことができました。

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お目当ては、市原市や長生・山武地域などに古くから伝わる「豆造」と呼ばれるもの。味噌を作る際に捨ててしまう大豆の煮汁を有効活用した醗酵食品で、かつては農村部の家庭で作られていたそうです。地域や家庭によって異なりますが、煮汁に米麹・塩・納豆または煮豆や切り干し大根などを加え、1週間から1ヶ月ほど掛けて熱成させます。

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売られていたのは、「煮豆入り御豆造」(324円)・「納豆入り御豆造」(324円)・「干大根・納豆入り御豆造」(497円)の3種類。今回は「煮豆入り御豆造」を購入してみました。

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製造元は市原市にある赤石味噌糀店となっております。創業は明治3年という老舗で、豆造以外に味噌・麹・甘酒などを製造販売しているようです。

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原材料は大豆・米麹・食塩のみ。賞味期限は約4ヶ月といったところです。お薦めの召し上がり方として、「ご飯にそのままかけて」「熱湯でスープにして」「ホウレンソウ等のおひたしにかけて」「煮ものや野菜炒めの味付けに」と書かれています。スープにもなるのか……。

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「ほっともっと 姉崎東口店」で買ってきた、温かいご飯(140円)に載せていただきました。「陸のしおから」とも書かれていますが、イカの塩辛ほど辛くはありません。それなりの塩っぱさはあるのですが、そのままでもパクパク食べられるレベルです。「煮豆です」といって出されたら塩っぱく感じると思いますが、「塩辛です」といって出されたらそうでもないな……という感じ。醗酵食品にしてはあまりクセはなく、嫌な匂いもなく美味しくいただくことができますね。

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とはいってもさすがに300gは多すぎるので、残り3分の1はホテルの部屋で酒のアテとしていただくことにしました。「15℃以下で保存して下さい」と書かれているので、まぁ……大丈夫でしょう。

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ちなみに赤石味噌糀店の「豆造」は、「道の駅あずの里いちはら」より1kmほど北にある「新生 房の駅」でも売られていました。

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2022年07月27日

大子町「大子おやき」

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袋田の滝の近くで「奥久慈しゃも丼」をいただいたあと、昭和38年に架けられたという久野瀬橋まで行ってみました。久慈川には、このような沈下橋(地元では地獄橋と呼ぶらしい)がいくつかあるそうです。独特な流木除けが印象的ですね。

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そこからホテルに向かう途中にある、「道の駅 奥久慈だいご」に寄ってみました。お目当ては「大子おやき」なるものです。

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「ほど焼き」(※)という古くから伝わる郷土食を、現代風にアレンジしたものだそうです。幟には「奥久慈ソウルフード」と書かれています。

※味噌を練り込んだ小麦粉生地を囲炉裏の灰(ほど)で焼いたもので、とても硬い食べもののようです。

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「大子おやき学校」という、廃校となった小学校を活用した観光・体験施設で作られております。実は……前日の13時30分頃にもここに来たのですが、人気があるようで既に完売していたんです。今回は14時を過ぎていたので、もう無いだろうなと思っていたのですが……

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あ、ありましたね。野沢菜は売り切れていたので、キンピラを1個(150円)だけ購入。この15分後にはキンピラとチーズも売り切れとなったので、もし行かれる方は午前中が宜しいかと思います。

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店の前のテーブル席で早速いただいてみました。直径75mm×高さ30mmほどの大きさ。保温ケースの中に入っていたのでホカホカです。「ほど焼き」とは違い味噌は練り込まれていませんが、弾力が弱めの小麦粉生地には素朴なイイ味わいがあります。

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具はゴボウ・ニンジン・白ゴマ。シャキシャキとしたタイプのキンピラではなく、柔らか〜く仕上がっております。ゴボウの香りがとてもイイですね。味付けはピリ辛で、醤油は濃すぎず薄すぎずといったところ。信州の「おやき」との違いはよく分かりませんでしたが、美味しくいただくことができました。

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ちなみに道の駅内には、土産用の冷凍「大子おやき」が大量に並んでいました。ホテルに電子レンジがあれば、これでも良かったんですけどね。

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このあとクルマを4kmほど走らせ、旧上岡小学校まで行ってみました。茨城県内で現地保存されている小学校校舎としては、最も古いものだそうです。

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……が、校舎内を見学できるのは土・日・祝日のみなんですね。ちゃんと調べておかなかった自分が悪いのですが、ちょっと残念でした。

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